一般質問から 5月28日の本会議(第3日)において、市政全般に関する方針や事業などについて、各会派を代表して10人の議員が「一般質問」を行いました。その中から13項目を抜粋して掲載します。 【自民党】5問 ●人口減少社会におけるまちづくり ●新たな政策の打ち出しと財源確保 ●公共工事の平準化 ●アジア諸都市の都市課題解決 ●自治会町内会の担い手不足の解消 【公明党】2問 ●不登校児童生徒支援 ●単身高齢者等の包括的支援 【立憲党】2問 ●横浜の緑を将来につなぐ取組 ●市営バスの大幅減便の改善策 【維新会】1問 ●教育行政の在り方 【共産党】1問 ●関内駅前地区の再開発 【民主フ】1問 ●市立保育所における午睡用コットの導入 【トモイ】1問 ●本市の子ども施策 都市整備 人口減少社会におけるまちづくり 自民党 (問) これまでの本市のまちづくり施策は、急激な人口流入を抑制するため、都市開発を規制してきました。しかし、現在は人口が減少に転じており、人口流入につながる規制緩和に大きく舵を切るフェーズだと考えます。人口減少を鈍化させ、安定的な財源の確保につなげることで、ソフト政策が進めやすくなり、それが市民にとって暮らしやすく、幸福を感じられるような横浜になっていくと信じています。線引き(※)の見直しや用途変更など、大胆な規制緩和をするために、市長が政治的判断をするべきと考えます。 (答) 人口減少社会のなかでも持続的に成長・発展していくため、魅力的な景観や住環境等の横浜の良さを生かしながら、これまでの規制を大胆に見直していきます。都市計画マスタープランの実現策として様々な規制緩和策や支援策をまとめた「土地利用誘導戦略」を策定し、分かりやすく企業等にお伝えすることで、更なる投資を呼び込み、魅力と活力あふれる都市を実現していきます。 用語解説 線引き (文中の(※)で表示) 無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため、方針に即し市街化区域(既に市街地を形成している区域、計画的に市街化を図るべき区域)と市街化調整区域(市街化を抑制すべき区域)に区分すること。 政策 新たな政策の打ち出しと財源確保 自民党 (問) 市長は就任後、子育て政策を中心に新たな政策を打ち出していますが、その実施のためには新たな財源が必要です。財源が確保できなければ、既存の事業の廃止や縮小により財源を生み出す必要があります。市民生活に直結し、多大な影響を与える恐れのある既存事業は簡単に廃止・縮小できるものではありませんが、実際には予算を縮減した事業も数多くあると思います。新たな政策の打ち出しだけではなく、財源確保にも積極的に取り組むべきと考えます。 (答) 持続的に政策課題の解決を図っていくためには、財源の安定的・構造的な充実を図ることが不可欠です。戦略的なまちづくりによる税収効果の創出や保有資産の有効活用、ふるさと納税の寄附受入の拡大など、職員一人ひとりが財源確保を「自分事」として捉え、様々な手段を用いて、財源基盤の強化に取り組んでいきます。 働き方改革 公共工事の平準化 自民党 (問) 中期計画において、建設業の働き方改革の政策指標として、本市発注工事の平準化率(※)を令和7年度までに0.8とするところを、昨年の第4回市会定例会で「令和6年度の達成を目指す」と答弁がありましたが、目指すべき水準は1.0です。より高い目標を立て、平準化の取組を更に進めるべきと考えます。 (答) 4月から建設業にも残業規制が適用となり、平準化を進める必要性は高まっています。市内事業者も懸命に働き方改革に取り組んでおり、発注者としても最大限の支援に努めています。引き続き、建設業界の皆様の意見を伺いながら、これまでの取組に加え、繁忙期である年度末工期の削減など、平準化に資する取組を更に拡充していきます。 用語解説 平準化率 (文中の(※)で表示) 4~6月期の工事平均稼働件数を年度の工事平均稼働件数で割った値。公共工事では年度内の時期によって工事量に大きな差があり、繁忙期は人材不足や長時間労働が懸念される一方、閑散期は労働者の収入が不安定となる。 国際 アジア諸都市の都市課題解決 自民党 (問) メトロセブでは、市や市内企業の協力によりインフラの整備が進みつつある一方、今後の持続的な都市の発展に向けた様々な課題があることも現地視察で伺いました。例えば、リサイクル施設や汚泥処理施設が十分に機能を発揮していくためには、適切な管理や運営を行う必要がありますが、現地ではそのノウハウが不足しています。市職員が現地に渡航して、まずは現状を確認するなどできることから行い、都市課題の持続可能な解決に向け、相手都市へ行政として継続的に支援することが重要と考えます。 (答) 相手都市が自立的にインフラを整備・運営していくためには、ノウハウの提供や人材育成が必須と考えます。引き続きJICAなど国際機関と連携し、豊富な経験を有する市職員の現地派遣や、現地関係者の視察・研修受入を積極的に進め、相手都市の都市課題の解決に貢献していきます。 写真キャプション:メトロセブのリサイクル施設 地域活動 自治会町内会の担い手不足の解消 自民党 (問) 地域コミュニティの中核的存在である自治会町内会は行政と地域をつなぐ重要な役割を担っており、協働して地域づくりを行っている市にとっても欠くことのできないものです。しかし、年々加入率が低下しており、役員のなり手が少ない、会員の高齢化が進んでいるといった課題が顕在化しています。令和2年の「自治会町内会・地区連合町内会アンケート」の結果から、加入率低下の原因の一つに、活動の負担感が挙げられると考えます。自治会町内会の活動が持続できるよう、担い手不足の解消に向けてしっかりと取り組むべきです。 (答) 今後も自治会町内会が継続的に活動をしていけるよう、DXを活用した事務負担の軽減や活動の見える化、気軽に参加できるボランティア制の活用などを通じて、新たな住民の参加促進につなげていきます。併せて、各区と関係団体や大学、NPO等が連携しながら、地域活動の担い手の発掘・育成、多様な主体との協働の促進など、これまで以上にしっかりと取り組んでいきます。 教育 不登校児童生徒支援 公明党 (問) 「学校に通うことだけがゴールではない」という社会的理解が浸透しつつあると感じています。校外の、例えば、フリースクールなどに通いながら成長し、社会で立派に活躍しているお子様もいます。社会的に自立し、自分らしく生きる道を選べるよう、義務教育段階の学びに対する支援にとどまらず、不登校の子供の居場所づくりを市全体で、国とも連携しながら、取り組んでいく必要があります。不登校の子供を含む困難を抱えるお子様の居場所づくりを推進していくべきと考えます。 (答) 未来を創る全ての子供が、自分に合った、安心して過ごせる居場所を持つことが重要です。市では、青少年の地域活動拠点、地域ユースプラザ、こども食堂等、様々な居場所づくりに取り組んでいます。困難を抱える子供が、体験活動や交流などを通じて、自己肯定感を高めることができるよう、引き続き多様な居場所づくりを進めていきます。 子育て 市立保育所における午睡用コットの導入 民主フ (問) 市立保育所では、園児のお昼寝の際、リースの布団等を使用しており、専門業者が寝具乾燥を行っています。一方、最近は「コット」というメッシュ式の簡易ベッドを使用する民間園が増えています。コットは床から10センチほど高さがありほこりを吸い上げず、準備や片付けの際にほこりが舞うことも少なくアレルギーから子供を守れることや、水洗いや消毒ができ、感染症の拡大を防ぐことが期待できることなど、メリットがあります。子供たちの健康、快適性を考えるとコットの方が敷布団より優れており、市立保育所におけるコットの導入を進めるべきと考えます。 (答) 現在、市立保育所の午睡用寝具については、敷布団、掛布団、毛布をリース契約により使用しています。コットについては、風通しがよく水洗いもできて衛生的であり、シーツ交換の手間が少ないといったメリットがあります。今後、収納場所の確保など、各園の状況を確認しながら、コットの導入を検討していきます。 子育て 本市の子ども施策 トモイ (問) 昨年度、横浜市子ども・子育て支援事業計画策定に際し、子どもの意見を聴く取組が初めて予算化され、ヒアリング結果が今年3月に公表されました。子どもの意見表明権の保障、子ども施策への子どもの意見の反映は重要なことです。計画への子どもの意見の反映状況を子どもにフィードバックすべきと考えます。 (答) 子どもの意見を施策に反映することと、結果を子どもに丁寧に説明することは、両輪で進めていくべき取組であると認識しています。今後、次期計画素案に対するパブリックコメントを実施する際に、コラムを設けて反映状況を紹介するなど、国のガイドライン等も参考にしながら、子どもの視点に立って分かりやすくフィードバックを行います。 福祉 単身高齢者等の包括的支援 公明党 (問) 単身高齢者世帯の割合は年々増加しており、その支援が喫緊の課題です。国は、包括的支援を行う相談調整窓口の設置モデル事業を示すなど、社会全体で身寄りのない高齢者等を支える仕組みの構築を進めていますが、あらためて、身寄りのない高齢者等への支援の方向性について伺います。 (答) 今後ますます高齢化が進み、単身高齢者が増えていくなかで、身寄りのない高齢者等への支援は大変重要な課題です。今年度は、支援のあり方の検討に向けてモデル事業を実施し、行政が担うべき役割等を見極めます。また、民間事業者が市内で行っている試行的な取組や他都市の状況も参考にしつつ、市の人口規模や地域特性に応じた支援の方向性を検討していきます。 環境 横浜の緑を将来につなぐ取組 立憲党 (問) 緑に触れる機会や、関わる人を増やしていくためには、身近に緑があることの意義や地域で森を守る皆様の活動、森での様々なイベント情報を、子育て応援サイトなども活用し、広い世代の市民に知っていただき、活動の輪を広げていくことが必要です。緑の意義や緑に関わる市民の活動について、より一層、広報を展開すべきと考えます。 (答) 緑に関心を持つ市民の裾野を広げ、活動に参加する方を増やしていくために、緑を育む意義や実際に森づくりができる場所の情報、森づくりを楽しんでいる皆様の様子などを、積極的に発信していきます。より多くの市民に緑に関わる活動に参加していただくことで、横浜の豊かな緑を未来に引き継いでいきます。 写真キャプション:緑に関わる活動に取り組む皆様