5章、主要な事業ごとの医療体制の充実、強化 【48ページ】 5章1、救急医療 現状と課題 救急医療体制について 2024年度から施行される医師の働き方改革により、医師が不足し医療提供体制を維持することが難しくなる懸念があります。 超高齢社会の進展により、救急需要の更なる増加が見込まれています。 疾患ごとの救急医療体制について、需要の変化を踏まえつつ、最適化に向けた検討が必要です。 新興感染症や異常気象などによる救急需要の急激な変化が生じるリスクへの対策が必要です。 プレホスピタルケアにおける救急医療体制の更なる充実に向けた検討が必要です。 救急医療DXについて 一連の救急活動にアナログとデジタルの業務が混在しており、病院到着後の引継ぎが書面で行われています。 救急隊が現場で把握した患者情報を電子データとして病院に引継ぎができていません。 病院情報を集約するワイミスの構築から10年余が経過し、老朽化していることから、再構築の時期がきています。 適切な受療行動の推進について 二次救急医療機関に多くの初期救急患者が直接受診することにより、二次救急医療機関が担うべき救急医療に支障をきたすことが指摘されています。 限られた医療資源を最大限に活用するためには、救急相談センター電話番号♯7119の更なる活用を含め、重症度に応じた適切な受療行動について認識を深める必要があります。 超高齢社会が進展するなか、人生の最終段階においてどのような医療、ケアを望むかについて日頃から話し合うことの重要性が高まっています。 【50ページ】 目指す姿 救急需要の増加に対し、緊急性の高い傷病者を確実に救急医療機関へつなぐことができるよう、最適な医療提供体制の確保を目指します。 指標 救急医療体制参画医療機関数、現状、59施設、目標、59施設 施策の方向性 救急医療体制について 医師の働き方改革の影響等を医療機関への調査により把握した上で、限りある医療資源を有効に活用して、初期、二次、三次などの本市救急医療提供体制を適切に維持するなど、より効率的な体制を検討します。 また、ドクターカーシステムの更なる充実について検討します。 救急医療DXについて 実証実験を踏まえてシステム仕様の検討などを行った上で、本市における最適な救急医療DXを実現し、救急隊が収集する現場の患者情報を迅速かつ正確に医療機関に共有することで、救急活動の効率化と病院内での事務負担軽減を図ります。 適切な受療行動の推進について 救急相談センター電話番号♯7119や人生会議の普及啓発を通じて、適切な受療行動を推進します。 【51ページ】 主な施策 超高齢社会における救急医療提供体制の最適化、DXによる救急活動や医療連携の効率化、適切な受療行動の推進のための啓発等に取り組みます。 【52ページ】 5章2、災害時における医療 現状と課題 大規模地震、異常気象に伴う自然災害、大規模な事故のほか、マスギャザリングにおける災害、更には武力攻撃事態など、大都市横浜ならではの様々なリスクがある中、万全な救急及び災害医療体制が必要です。 重症者の対応を担う災害拠点病院を有効に機能させるため、他の病院や診療所の応需体制を整備するほか、市民にも適切な受療行動を周知する必要があります。 災害時における県及び関係団体との連携強化を図るとともに、ディーマットやモバイルファーマシーなどの機動力を機能させるため、継続的に訓練を実施していく必要があります。 医療救護隊については、資器材や医薬品等の適正な維持管理のほか、医師会、薬剤師会、Yナースと連携した訓練や研修により人材を確保していく必要があります。 通信基盤の老朽化が進んでいることから、再構築を検討していく必要があります。 災害時に、市町村における保健医療活動の調整等を担う本部の構成員に、災害薬事コーディネーターを加えることが国から示されたため、県と連携して体制の在り方を検討していく必要があります。 災害関連死を防ぐため、医師、保健師等による健康管理、こころのケアや歯科医師等による口腔健康管理などについても、関係機関と連携強化を図っていく必要があります。 目指す姿 大規模地震等の災害発生により、医療資源が制約を受ける中でも、適切な医療を提供できる体制を目指します。 指標 災害時医療体制の維持、充実、現状、維持、目標、維持、充実 施策の方向性 神奈川県及び関係団体等と連携し、災害時医療体制の維持及び連携強化を図ります。 災害発生時の適切な受療行動に向けて、市民に対する災害時医療体制の啓発を行います。 災害時通信体制の再構築や継続的な訓練の実施により、各区や医療機関、関係団体等との情報受伝達体制を強化します。 【53ページ】 主な施策 行政と関係機関が連携した災害対応の検討と充実に取り組みます。 【54ページ】 5章3、周産期医療、小児医療 現状と課題 子育てしたいまちの実現に向けた取組の一環として、病院、診療所、助産所といった医療機関等での分娩取扱施設を確保、維持していくことが必要です。 産婦人科、小児科医師の確保に向けた継続的な支援が必要です。また、子育て等に配慮した職場環境の整備が求められています。 産科拠点病院などにより、ハイリスク妊産婦、周産期救急の受入れやNICUなど周産期病床の充実、地域連携の継続が必要です。 小児救急拠点病院は7拠点24時間365日体制で運営されていますが少子化の進展による小児患者の減少も見込まれる中、安定的な医療提供体制を維持していくことが必要です。 救急相談センターについて、増加する入電件数に対応できるサービス提供体制を維持していくことが必要です。 妊娠届出時から生後4か月頃までの継続した相談対応や母子保健サービスの利用紹介等を行うことで、妊産婦の不安や負担の軽減を図る必要があります。 妊娠期を健やかに過ごし、安全、安心な出産を迎えるため、妊産婦健診及び妊婦歯科健診が極めて重要であることから、引き続き受診勧奨を行う必要があります。 産後うつの予防、早期発見、早期対応の支援を行うために、医療機関との連携を推進する必要があります。 医療機関は、児童虐待の早期発見、早期対応を求められています。また、児童虐待予防の視点からも、要支援児童等の情報共有など、医療機関と行政の連携を持続的に強化していく必要があります。 【56ページ】 目指す姿 少子化が進展する中でも、誰もが安全、安心に出産や育児ができる環境を継続するため、妊産婦への相談支援、出産場所や救急医療など、様々な取組を組み合わせ、切れ目のない適切な周産期、小児分野の保健、医療提供体制の確保を目指します。 指標 出生数に対する市内分娩件数の割合、現状、89.9%、目標、同水準を維持 小児人口10万人対小児医療機関数、現状、病院8.3病院、診療所42.1か所、目標、同水準を維持 施策の方向性 周産期病床の確保とともに、ハイリスク分娩への対応や、産科医の勤務環境改善などにより、将来にわたり安定的に医師を確保し、より安全で安心な出産ができる環境づくりを進めます。 小児救急拠点病院について、少子化により小児患者の減少が見込まれる中でも、24時間365日体制を維持するため、需要動向を踏まえた検討を行います。 小児の病気やケガの対応方法、救急相談センターについて、普及啓発を行います。 妊産婦メンタルヘルス連絡会を実施し、産科、小児科、精神科、助産師等の連携を推進します。 産後うつ病等のメンタルヘルスの不調がある妊産婦とその家族に対する支援を行うおやこの心の相談を段階的に拡充します。 児童虐待の早期発見、早期対応に向けて、医療機関と行政との連携を持続的に強化します。 【57ページ】 主な施策 必要な時に必要な小児、周産期医療を受診できる環境づくり、出産、育児に関する相談支援の充実等に取り組みます。 【58ページ】 5章4、新興感染症医療 現状と課題 平時からの体制構築について 新型コロナウイルス感染症対応の教訓を踏まえ、新興感染症発生時に機動的な対応が図れるよう、県をはじめ、医療機関や医療関係団体と平時から連携を深めておく必要があります。 全国的かつ急速なまん延が想定される新興感染症は、患者数の急増が想定されることから、平時から、県と市内医療機関が締結した協定に基づき、感染状況に応じた市内医療機関の役割分担を行い、入院、外来体制や後方支援体制を迅速に確保できるようにしておく必要があります。 感染症対策の質の向上、人材育成に向けて、初動対応訓練や防護具着脱訓練、研修等を定期的に実施する必要があります。 個人防護具について、計画的かつ安定的に備蓄する必要があります。 新興感染症対策について、平時から、市民への周知を図る必要があります。 新興感染症発生、まん延時の機動的な対応について 県と市内医療機関が締結した協定に基づき、新興感染症の対応が可能な医療機関を確保し、感染状況のフェーズに応じて、迅速に病床や外来を稼働させる必要があります。 感染が爆発的に拡大し、入院、転院調整が困難となった場合には、入院、転院調整を行うための体制を整備する必要があります。 感染症患者の迅速かつ適切な移送体制整備に努めるとともに、保健所と消防機関等で適切に情報共有するなど連携を図り、患者移送に万全を期す必要があります。 市民が検査、受診等について相談できる体制を迅速に整備するとともに、当該感染症に関する正確な情報発信を的確なタイミングで行う必要があります。 施策の方向性 新興感染症発生時に機動的な対応ができるよう、平時から神奈川県、医療機関や医療関係団体等の外部機関との連携体制を確立します。 継続的な訓練や研修等の実施により、市内感染症対策の質の向上、人材育成を図るとともに、感染拡大時の移送体制の確保や備蓄など、平時から体制整備を行います。 感染が爆発的に拡大し、入院、転院調整が困難となった場合には、組織横断的に調整を行う本部を設置し、病床使用状況の把握や判断基準に基づいた入院、転院調整を行います。 新興感染症対策について、平時から市民への周知を行うとともに、発生、まん延時は受診等に関する相談体制を速やかに構築します。