2章、横浜市の保健医療の現状 【8ページ】 横浜市将来人口推計 2020年国勢調査の結果を基準人口とする横浜市将来人口推計において、本市の総人口は2021年をピークに、減少傾向に転じると推計されています。 15~64歳の生産年齢人口は、2020年から2040年にかけて14.9%減少する一方で、75歳以上の人口は2020年から2040年にかけて28.5%増加する見込みです。 生産年齢人口が減少し、75歳以上の人口が増加する超高齢社会への対応が必要です。 死因別の死亡状況 本市における死亡数は増加傾向にあり、2040年は2020年の約1.4倍になると推計されています。 死因別の死亡状況では、悪性新生物(がん)、心疾患、老衰が死因の上位を占めています。 疾病ごとの動向に合わせた医療提供体制の構築が必要です。 【9ページ】 医療需要予測 今後の医療需要は、2020年を100としたとき、全国の入院に関する需要は2030年頃をピークに減少する一方、本市の入院に関する需要は2045年頃までは増加していく見込みです。2020年と比較して、2040年は16%増加すると予測されています。 全国の外来に関する需要は2025年頃をピークに需要は減少する一方、本市の外来に関する需要は2040年頃をピークに、2045年頃まで維持される見込みです。2020年と比較して、2040年は7%増加すると予測されています。 2040年における本市の医療需要は、全国と比べて、増加傾向が維持されることが見込まれるため、医療需要に対応できる医療提供体制の構築が必要です。 【10ページ】 医療施設の状況 市内には医療機関として、2021年時点で、病院、132か所、一般診療所、3,100か所、歯科診療所、2,114か所、薬局、1,662か所、助産所、10か所があります。 医療従事者の状況 本市における人口10万対の医療従事者の状況をみると、医師数、看護師数は全国平均を下回っていますが、歯科医師数、薬剤師数は全国平均を上回る状況となっています。 【11ページ】 地域医療におけるかかりつけとは かかりつけ医とは、なんでも相談できる上、最新の医療情報を熟知して、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介でき、身近で頼りになる地域医療、保健、福祉を担う総合的な能力を有する医師とされています。患者に対して継続的かつ全人的な医療、健康管理を行うことで、健康づくり、予防、病診連携、在宅医療、看取り等を幅広く担うことで、地域医療を支えています。 かかりつけ歯科医とは、安心、安全な歯科医療の提供のみならず、医療、介護に係る幅広い知識と見識を備え、地域住民の生涯にわたる口腔機能の維持、向上を目指し、地域医療の一翼を担う歯科医師のことを指します。生涯を通じて口腔の健康を維持するために、継続的に適切な治療や管理を提供し、いつでも相談に応じてくれる身近な歯科医師として、地域医療を支えています。 かかりつけ薬剤師、薬局には、主に、一つ目、ひとりの薬剤師がひとりの患者さんの服薬状況を1か所の薬局でまとめて管理し、かつ、それを継続して行う機能、二つ目、24時間対応を行ったり、患者さんの自宅にお伺いし在宅医療を行う機能、三つ目、処方医や医療機関と連携する機能があります。更に、薬以外にも、健康に関することや介護に関する相談に対応することについても、すべての薬局に期待されています。 その際、患者さんの不安や疑問を取り除けるよう、患者さんに寄り添った対応を行い、地域医療を支えています。 【12ページ】 市立、市大、地域中核病院等を基幹とする医療提供体制 本市では、市立3病院である市民病院、脳卒中・神経脊椎センター、みなと赤十字病院及び横浜市立大学附属2病院である横浜市立大学附属病院、横浜市立大学附属市民総合医療センターに加え、市内6方面の基幹的な役割を担う地域中核病院を誘致、整備し、独自に医療提供体制を構築してきました。 (1)市立3病院 超高齢社会における市民ニーズに対応していくため、政策的医療を中心とした医療機能の充実や、地域医療全体への貢献に向けた先導的な役割を発揮し、良質な医療を継続して提供しています。また、地域包括ケアシステムの実現に向け、医療と介護等との連携を強化し、地域全体で支える医療を目指した取組を推進しています。 ①市民病院 急性期を中心とした総合的な病院。 がん、救急、周産期、感染症、災害医療等、地域から必要とされる医療及び高度急性期医療に積極的に取り組む。 ②脳卒中、神経脊椎センター 脳卒中、神経疾患、脊椎脊髄疾患、リハビリテーションの専門病院。 中枢神経全般に対する高度急性期から回復期までの一貫した医療に取り組む。 ③みなと赤十字病院 日本赤十字社を指定管理者とし、市との協定に基づいた医療を提供する病院。 救急、精神科救急、合併症医療、アレルギー疾患、災害時医療などに取り組む。 【13ページ】 (2)横浜市立大学附属2病院 市内唯一の大学医学部、県内唯一の公立大学医学部の附属病院として、周産期、小児、精神、救急、がん、災害時医療等の政策的医療を実施しています。また、大学病院としての高度な医療の提供、教育機関として地域医療を支える人材を育成、輩出、地域医療機関への支援や臨床研究の推進など、様々な役割を担っています。医療を取り巻く環境の変化に対応し、将来にわたり高度で先進的な医療を提供するため、再整備の検討を進めています。 ①横浜市立大学附属病院 がんや難治性疾患を中心に高度で先進的な医療を提供する市内唯一の特定機能病院。 次世代臨床研究センターが中心となり、臨床研究を推進。 ②横浜市立大学附属市民総合医療センター 市内唯一の高度救命救急センターを擁し、救急医療の拠点としての役割を果たす。4地域医療拠点病院として地域の医療の充実に貢献。 【14ページ】 (3)地域中核病院 市中央部を除いた郊外部の6方面に、高度な医療機能を持つ病院として、民営を基本とした地域中核病院を誘致、整備してきました。 地域中核病院は、本市との協定に基づき、救急医療、高度医療等に加えて、地域の課題となる医療や、がん、小児、周産期など、幅広い政策的医療を提供しています。 また、限られた医療資源を有効に活用するため、地域完結型医療の実践に向けた医療連携の中核としての役割を果たしています。 (4)地域中核病院とともに高度医療等を担う病院 地域中核病院等のほか、昭和大学藤が丘病院や国家公務員共済組合連合会横浜南共済病院など、救命救急等の政策的医療や高度医療を担う病院も本市の医療提供体制を支えています。